♪レクイエム・キリエ・ディエス イッレ。
第1曲のレクイエムからピアノに合わせて歌う。
自分では暗譜していたつもりだったが、3ヶ月前に覚えた曲でもあり、休符や音長・ラテン語の発声法や感情表現など、曲作りの細かなところを忘れている。
この辺りが、自宅で鼻歌気分で歌っているのと、合唱で歌うのとの違いかもしれない。
わずか3ヶ月、されど3ヶ月である。
平べったい声を出さない、咽に頼らない、子音をはっきりと、母音を伸ばすように…
先生から、またいつものように、基本的な声の出し方、歌う時の気持ちの作り方などを教えていただく。
なかなか上達しない、教えても教えてもすぐに忘れる、3歩進んで2歩下がる…毎回同じことの繰り返しで、教える側にも努力と忍耐が必要のようである。
♪レックス トレメンデ・コンフタティス・ラクリモーサ。
この日は急に暑くなったこともあり、体調が悪かったために、レッスン開始当初から声が思うようには出なかった。
私は暑さに弱い。日中の気温が30度近くにもなると水枯れの青菜のようにぐったりとなってしまう。
体力が消耗していたり低下していると、しわがれたような声になってしまって思うように歌えない。
あっぷあっぷ状態で歌うどころではない。声も出ないという有様なのである。
体調の変化が、そのまま声に現れてくる。
改めて日々の健康管理の重要性を認識させられる。
館内のエアコン効果もあり、レッスン開始から1時間ほど経て、ようやく声が蘇り、いつものように楽しんで歌えるようになった。
♪ドミネ イエズ・オスティアス・サンクトゥス。
それにしても、自分を含めて全体的に声が出ていないように感じた。
誰しもが不安気で遠慮したような声になっている。
目の前の指揮者に向かって歌うのではなく、会場の最後尾の席に坐っている聴取者に聞こえるように歌わなければならないはずなのに。
人の声は頑張れば以外と大きな声が出るものだ。
緊張している場合は声は出ないが、トレーニングすることで、リラックスすることでより大きな声を出せるようになる。
子供を叱るとき、事故や災害など思わぬ状況に出くわしたとき、100メートルも先に大切な人を見つけたとき…
私たちは日頃から無意識に大きな声を出している。大きな声を出せるはずなのだ。
ところが、いざ合唱となると声が出ない。
それは、緊張しているからであり、遠慮しているからであり、失敗を恐れているからであり、恥ずかしいと思っているからであり、自信がないからだと思う。
本当は、レッスンでこそミスを恐れずに思いっきり歌えるはずなのに。
本番ではミスは許されないのだから。
まぁ、とりあえずの3ヶ月であり、譜読みが一通り終わったところでもあり、何となく、それぞれの曲のイメージがつかめるようになったという段階であろうか。
■7月29日「火曜日 PM7:00〜9:00」
ベネディクトゥス アニュース・デイ ルクス・エテルナを中心に通常レッスンが行なわれる。
ベネディクトゥスのフーガの部分が少しまぎらわしい。
ソリストがたっぷり歌った後に、ほんのちょっぴりだけの合唱の出番だから、かっこよく歌って自分たちの存在価値を示さなければ…
まず、歌い出しのタイミング。テノール・アルト・ソプラノ・バスの順で歌いだすが、そのタイミングが問題だ。
♪オザンナの「オ」がはっきりしない。出だしの音がわからない。タイミングが取れない。心配で声にならない…と言ったところか。
自分でしっかり数えていないと乗り遅れてしまう。短いフーガのメロディーだから、あっと言う間に終わってしまう。
もう一つがメロディーのちょっとの違い。
サンクトゥスのフーガのフレーズと重なってしまって混乱している。
アニュース・デイは不安定なメロディーだ。
半音ずつ変化するフレーズが多いのでメロディーが不安定となる。
音の違いをあいまいにせずに、はっきりと変化をつけて歌わなければならない。
短い音をはっきり丁寧に、地声にならないように、音程を狙い定めて歌うようにと注意がある。
■8月5日「火曜日 PM7:00〜9:00」
通常は8時30分頃からステージで合同練習が行なわれるのだが、今回はパート練習のみで、第1曲のレクイエムから第14曲のルクス・エテルナまでの全曲を復習した。
前々回のレッスンで全曲の譜読みは一応終了した。
私も90%は暗譜したつもりだったが、改めて最初から歌ってみると、まだまだメロディーや歌詞などに不安定なフレーズが多い。
これからが本格的な曲作り合唱作りという事になるのだろう。
■8月10日「日曜日 PM1:00〜4:00」
8月の合同練習が行なわれた。
前回の合同練習から僅かに3週間。
進歩しているはずもなく、合唱団の出来はさんたんたるものだった。
私も、前日からの温泉旅行でのカラオケがたたり、声が枯れてしまって最悪。
アルコールが入ってのカラオケの濁声は咽ばかりに負担がかかるようだ。
それとも、一晩中のクーラーにやられたのか?
いずれにしても、軟弱な声帯である。いやいや、デリケートな声帯なのである。
合唱の出来はまだまだではあるが、課題ともいえるポイントがはっきりしたと思う。
いずれの曲でも、歌い出しの子音がはっきりしない。
ぼやけてしまって音がはっきりしない。季節がら、お化けじゃ有るまいし「爆」
例えば、第1曲 イントロイトゥスの冒頭の「レークイエム」では、Rの音が聞こえず、「エークイエム」と聞こえるようだ。
これは、他の全ての歌詞にも当てはまることにちがいない。
もっと、はっきりと丁寧に子音を発音する必要があるようだ。
もう一つのポイントが、それぞれの曲のフーガの部分。
「タカタカタカタカ…」のフーガのリズムに言葉が乗り切れない。
特に、「キリエ」が難解である。4声がなかなか揃わないようである。
子音をはっきり発音し、その上でフーガのリズムに遅れないように歌詞を歌うにはどうするか。
それには、やはり腹式呼吸が必要だ。
私たちは歌っているときに腹筋を使っているか。
咽だけで歌っていないか。
実際のところ、それほど腹筋を使っていない。咽で歌っていることが多いようだ。
では、腹筋を意識するにはどうすればいいか。
M先生が面白い話をしてくれた。
それは、掌に硬貨を載せて思いっきり吹き飛ばすというものだ。
まずは1円玉から。続いて10円玉、100円玉、500円玉と順に大きくしていく。
なるほど具体的でわかりやすい方法である。
腹筋の使い方がたいへん良くわかる。
以前に、歌っているときの先生のお腹を触らせていただいたことがあるが、ボンボンボンと大きく波打っていた。
さすがに、声楽をやっている人の腹筋の使い方は違うものである。
もっとも、お腹自体も太鼓腹のように大きいのだが…
■8月19日 火曜日「PM7:00〜9:00」
各パート毎に分かれて第1曲からの通し練習が行なわれた。
合唱するとは、いったいどういうことなのだろうか。
この基本的なテーマについて、これまで一度も考えたことがなかった。
暗譜すること、自分のパートを歌うことで精一杯で、各パートが重なれば自然と合唱になるものと思っていた。
CDなどで聞いた音楽や自分の知っている音楽が正しいのではなくて、今現在、みんなで歌っている音楽が最も正しい音楽であるとのこと。
周囲のパートがどのような音楽をしているか、良く聞いて音楽を合わせるようにする。
自分勝手に、「私はこう歌う!」とか、「CDではこんな風に歌っていた!」などと突然に声を張り上げると、自分の世界だけで音楽を作ってしまうことになり合唱にならないと指摘を受ける。
パートや伴奏の音が耳に入るように心は常に自由でありたい。
■8月26日「火曜日 PM7:00〜9:00」
前回に続いて各パートごとの通し練習が行なわれた。
第7曲のコンフタティスから最終のルクス・エテルナを重点的に復習し、その後ステージで4声の合同レッスンとなる。
M先生から、発声法など詳細なアドバイスを受ける。
当初、モーツァルトのレクイエムは比較的に歌いやすい音楽との引証だったが、歌いこむに連れて容易ではないことに気づかされる。
当然ながら、1曲1曲にテーマが有り、歌い方が変ってくる。
中でも最大の難関は、「キリエ」などで出てくる「フーガ」の部分だと思う。
音程とリズム、それに加えて言葉をきっちりと発声するのは私には至難の技である。
今回をもってパートごとのレッスンは終了となり、9月からはステージでの合同レッスンとなる。